2023年4月1日に骨伝導イヤホンのパイオニアshokzから新しい‘ながら聴き‘イヤホンが発表されました。
OpenFit
と名前のついたこのイヤホンはshokzが培ってきた骨伝導イヤホンとはまったく異なるタイプのオープンイヤー型イヤホンになっています。
本記事では、まず最初にshokzとはどのような企業かという説明とshokz製品を振り返ります。
次に公開されているOpenFitのスペックを解説しました。
最後にOpenFitに対抗できそうな類似製品を紹介します。
※あとがき
OpenFitが手元に届いたので最速でレビューしました。
shokzは骨伝導イヤホンのパイオニア
shokzは2011年にアメリカで誕生した骨伝導技術に特化したメーカー。
空気と鼓膜を伝わって音を届けるのではなく、耳周辺の骨を伝わって音を直接耳の奥のうずまき菅に届ける技術。動画や録音などで自分の声を聞くと、自分が普段聞いている自分の声とは違った声で聞こえるのも骨伝導の一種。
AppleやSONYのイヤホンが独立した音楽体験を志向してきたのに対し、shokzは開放された音楽体験を追い求めてきました。
具体的に言うと、他社はノイズキャンセリングの性能を上げて、外部の雑音を遮断して自分だけの世界を作ってきました。
しかしshokzはそこに疑問を投げかけます。
「ノイズキャンセリングは他社とのコミュニケーションを遮断するだけでなく、交通音も遮断し、安全上の問題を引き起こす場合がある」と。
shokzのビジョンは、人々のつながりを増やし、自然な状況下で耳を開かせ、誰もが周囲の環境を安全に聞くことができることです。
この結果、オープンイヤー型の骨伝導イヤホンが生まれました。
shokzは骨伝導イヤホンを生み出したパイオニアであると同時に、業界の最先端をひた走っています。
骨伝導技術に関する特許を1000件以上出願しており、他社の追随を許さない王者の貫禄を感じます。
BCNランキングによると、2021年10月時点で、国内の骨伝導イヤホンシェアはshokzが81.5%とダントツだそうです。
毎年のように新製品をリリースするshokzですが、2022年にはハイエンドモデルのOpenRun Proを発売しました。

スタンダードモデルのOpenRun、エントリーモデルのOpenMove
の他に、完全防水のOpenSwim
、ビジネスモデルのOpenComm
など価格別、用途別に応じた多種多様な骨伝導イヤホンを販売しています。

OpenFitとは

OpenFitはshokzから発表されたまったく新しいイヤホン。
何が新しいかと言うと、完全独立型イヤホンになったことです。
左右のイヤホンがケーブルでつながられておらず、完全に独立しているイヤホン。TWS(True Wireless Stereo)とも呼ばれる。

今までのshokzのイヤホンはOpenRun Pro含め左右一体型イヤホンでした。
左右一体型のメリットは落としにくいこと。
頭部を挟み込むような形になるので、安定感があります。
運動など激しい動きをするときに左右一体型のイヤホンは向いています。
shokzは今までAppleのAirPodsやSONYのWF-1000XM4といった完全独立型イヤホンとはすみ分けして商品を展開してきましたが、いよいよAppleやSONYと真っ向勝負する姿勢で完全独立型イヤホンに参入しようとしています。
それがOpenFitです!

OpenFitはshokz初の完全独立型イヤホン。
そして、shokz初の非骨伝導イヤホンです。
OpenFitの公開スペック
現在公開されているOpenFitのスペックをOpenRun Proと比較しながら見ていきます。

バッテリー
製品 | OpenFit | OpenRun Pro |
---|---|---|
バッテリー駆動時間 | 10時間 | 10時間 |
待機時間 | 最大10日 | 最大10日 |
電池容量 | 58mAh(イヤホン) 600mAh(充電ケース) | 140mAh |
急速充電対応 | 5分間の充電で1時間の使用が可能 | 5分間の充電で1.5時間の使用が可能 |
充電時間 | 1時間 | 1時間 |
充電ポート | USB Type-C | 磁気誘導 |
最大充電電圧 | 5.0V±5% | 5.0V±5% |
まず大きな違いは充電方法。
OpenFitは多くの完全独立型イヤホンと同様に充電ケースが付属しています。
OpenRun Proと比べて製品サイズが小さいのでイヤホン本体の電池容量は小さいですが、充電ケースがあるので実質の電池容量は大きいです。
充電方法がUSBタイプCなのも嬉しいポイント。
接続性能
製品 | OpenFit | OpenRun Pro |
---|---|---|
Bluetooth | 5.2 | 5.1 |
無線通信距離 | 10m | 10m |
互換コーデック | SBC,AAC対応 | SBC対応 |
対応プロファイル | A2DP, AVRCP, HSP, HFP | A2DP, AVRCP, HSP, HFP |
Bluetoothのバージョンは大差はないですが、5.1から5.2にアップデートされています。
コーデックもSBCのみからAACにも対応するようになりました。
- コーデック:音声データの圧縮方式。音の遅延と音質に関わる。
- AAC:iphoneに対応しているコーデック。SBCより遅延が少なく高音質と言われている。
- SBC:基本のコーデック。製品により差はあるが遅延を感じる。音質は上から下までさまざま。
これにより多少音の遅延が改善されるのではないかと期待しています。
設計仕様
製品 | OpenFit | OpenRun Pro |
---|---|---|
防水&防塵規格 | IP54 | IP55 |
素材 | PC,シリコン | フルチタン |
重量 | 8.3g(イヤホン) 57g(充電ケース) | 29g |
コマンドコントロール | タッチパッド | 多機能ボタン ボリュームボタン |
OpenRun Proは素材がフルチタンで激しい運動もできるような耐久性を重視していましたが、OpenFitはPC(ポリカーボネート)とシリコンとなっており、軽量・快適性を重視しているようです。
コマンドコントロールも、物理ボタンからタッチパッドに変更となっています。
サウンド
製品 | OpenFit | OpenRun Pro |
---|---|---|
周波数帯域 | 50Hz~16kHz | 20Hz~20kHz |
イコライザー | アプリ対応 | スタンダードモード ボーカルモード |
感度 | 95.5±2.5dB | 105±3dB |
周波数帯域の数字だけを見ると、OpenFitよりOpenRun Proの方が幅広い音域に対応しています。
非骨伝導と骨伝導という違いがあるので、実際の音の感じ方は使ってみないと分かりません。
イコライザーに関しては、OpenRun Proは2種類しか切り替えられませんでしたが、OpenFitはアプリ対応となっており、好みでカスタマイズできるようになりました。
マイクロホン
製品 | OpenFit | OpenRun Pro |
---|---|---|
マイクタイプ | デュアルノイズキャンセリングマイク+ AIコールノイズキャンセリング | デュアルノイズキャンセリングマイク |
マイク感度 | -38dB | -38dB |
OpenFitは従来のデュアルノイズキャンセリングマイクに加えて、AIコールノイズキャンセリングという技術を採用しています。
OpenFitに一切の妥協なし!
ここまでOpenFitの公開スペックを順に見てきました。結論は、
性能に一切の妥協がないイヤホン
と言えます。
現行ハイエンドモデルであるOpenRun Proと比べても、遜色ないスペック。
そして何より、shokzのビジョンである「人々のつながりを増やし、自然な状況下で耳を開かせ、誰もが周囲の環境を安全に聞くこと」を体現している点。
非常に期待のもてるイヤホンだと言えます。
OpenFitの入手方法
2023年4月 クラウドファンディング開始
OpenFitは販売ではなく、2023年4月6日にクラウドファンディングからスタートするようです。
shokzは新製品を度々クラウドファンディングからスタートさせていますが、今回もそのパターンのようです。
OpenRun Proもクラウドファンディングから始まっており、2億円近く集めるという驚異の結果を残しています。

※あとがき(2023.5.2)
OpenFitのクラウドファンディング開始から1ヶ月経過しました。
途中経過は1ヶ月時点で1億4,000万円弱集めていました。やばすぎます。

OpenRun Proを抜くのも時間の問題かと思います。
OpenFitの発売日は?

OpenFitの正式な発売日ですが、2023年6月と予想しています。
OpenRun Proが2022年1月11日からクラウドファンディングを開始し、同3月1日に発売開始されたので、それくらいのスピード感でOpenFitも発売されるのではないかと考えています。
※あとがき
OpenFitの予約販売が6/23(金)から開始されました!
予想通り6月中の販売開始となりましたね。
OpenFitの対抗製品
現状shokzのOpenFitに対抗できそうなイヤホンは下記2点。
Oladance ウェアラブルステレオ
Oladance ウェアラブルステレオはアメリカのダンシングテクノロジーというベンチャーから生まれた完全独立オープンイヤー型イヤホン。
価格が26,225円とOpenFitと同価格帯であり、OpenFit
のライバル第一候補。
音の迫力がすごいので音楽を楽しく聴きたい人におすすめです。
Victor nearphones
Victor nearphonesはJVCケンウッドから出ている完全独立オープンイヤー型イヤホン。
価格が12,980円とOpenFitやOladanceと比較して安いのが特徴。
OpenFitとOpenDotsの違い
Shokzは2022年にOpenDotsというOpenFitと似た完全独立のオープンイヤー型イヤホンを一部店舗限定で販売していました。
結論から言うとおそらくOpenDotsはOpenFitの試作機。
なので見た目もスペックもOpenFitとほとんど変わりません。
ただOpenDotsは販売終了しており中古市場にしか出回っていないので注意です。
まとめ
本記事は「時代を作るか!?shokzの完全ワイヤレスイヤホンOpenFitのスペックを確認」について書きました。
時代を作るなんて大げさかと思われるかもしれませんが、近年のオープンイヤー型デバイスの盛り上がりを見るに、shokzのOpenFitが売れるのは間違いないと思います。
AirPodsなどの密閉型のイヤホンと完全に置き換わることはないと思いますが、一定のシェアは確保するのではないかと考えています。
どのみち、販売まで待ちきれません!
※あとがき
OpenFitが手元に届いたので最速でレビューしました。